人間の権利

人間には権利があるから他の生物を殺したり傷つけたりしているのだろうか。
動物には植物には微生物には権利がないのだろうか。

どちらにも無い。

たとえ犬に食い殺されなくても、いずれ僕らは何者かに殺され、何者かに食われ、この地上から消えていく。
永劫生きていく権利など、この世の何者にも認められていない。
あるのは食い合い殺し合いだけだ。
植物の死骸で出来た本をめくり、牛豚鳥を虐殺した死骸を食い、稲や小麦の身体を引き裂いた残骸を食べ、毎日無数の命を殺して血肉にしているんだ。
いずれ病原菌や事故や自らの老いに殺された僕ら自身も、同じ道をたどるのだろう。
虐待という言葉もあいまいだ。
スポーツフィッシング、狐狩り、もしくは芝生を養生した場所でサッカーやテニスをやるのは、虐待ではないのか。
犬の足を切り落とし、猫を生きながらに腑分けるのが虐待だと言うのなら、それらも含まれてしかるべきだろう。
結局は、多数派の気分と雰囲気の問題の域を出ない。
それを倫理と呼ぶのなら、それもいい。
何も決まりがないよりは、あったほうがいいだろうから。
決まりにしばられない人間を、人間は忌み嫌うものだろうから。