消火器少年

夏になると思い出す。
時をかける少女を見た時の気分。
主人公でも仲の良い友人達でもなく、自分は消火器を振り回して、当たり前のようにいなかった事にされた高瀬君だった。
ゲラゲラ笑いながらコミカルな場面を見、ヒロインが泣く場面でしんみりと涙を流した大多数の観客達。
何とも言えない疎外感。

語られない高瀬君の話。
主人公やら友達やらがめいっぱい好き放題に生きたように、高瀬君だって、めいっぱい好き放題に生きようとしたはずなのに。
夏の空は、彼の上にも陽光を降り注がせてくれたはずなのに。

「だからいじめられるんだよ」
聞くたびにゲロを吐きそうになる、嫌な言葉。
そうなるのが当たり前で、そうなってしかるべき、みたいな決めつけられるような言葉。

ヱヴァンゲリヲン 破 ネタバレ感想

仕事仕事でクソ忙しいっつーのにレイトショーで観てさっき帰ってきました。
また明日(今日?)朝八時から仕事ですが興奮しすぎて全く寝られません。
以下ネタバレ考慮しないので注意。


新キャラのマリ。性格はフリクリっぽいのかなぁと思ってたらやっぱりそんな感じだった。使徒との戦い自体、何かゲームっぽく楽しんでる感じ。旧作エヴァパイロットが程度の差こそあれみんなクソ真面目だったのとは好対照。動機はまだ明かされてないけど、こういう異物的なキャラが活躍するのは面白いと思った。あと十四歳(劇中では年齢語られないが多分同年代だろう)にしちゃ胸でかすぎ。アスカ以上のスタイルって反則だろJK。

アスカ。みやむーって声優やってたのかな? ちょっと演技不安でしたが、大人っぽく大人しくなった声だけど、違和感と感じるほどではなく一安心。ていうかアンタデレるの早すぎやー。サハクィエル戦のしくじりとシンジの活躍?で一気にシンジの事認める展開はちょっと強引かなと感じたり。イスラフェル戦を挟む尺は無かったにしても、二人の相互理解をうかがわせるエピソードはもう一個か二個欲しかった。そしてバルディエルに浸食されたのがトウジじゃなくてアスカだったとは・・・これは夏コミでスライムバルディエルにひどいことされるアスカ本が大量に出回ること請け合い(マテ)。今日の日はさようなら、のBGMが悪趣味過ぎです。首吊りシーン以来のトラウマになりそうな場面でした。もしかしてこのまま退場か?だったら急観にいかねえぞコノヤロウと、予告編を観るまでは思ってましたよ、マジで。アスカのいないエヴァなんて、タレも塩も振っていない生肉ですぜ。

レイ。貴女こそがメインヒロインであります。正直アスカ派でしたが、今作のレイの存在感は異常。料理の練習をしたり、他人の人間関係を気にして自分が何をできるか考えたり、あいさつをしたり、見も知らぬ他人を助けたり、そして最大の変化は、レイの代わりはいない、と主人公のお墨付きをもらえた事。おなじものがいっぱい、という異形の存在としてではなく、たとえユイのうつしみであったとしても、レイはレイ自体の個性を与えられた。あのシンジの叫びのシーンは素で泣きそうになりました。

そして、ああシンジよ。君は十数年を経て、本当に強くなった。不安ととまどい、恐れに萎縮して、何もせずに世界の終末を迎えた前回とは違う。君は、君こそが主人公だと再び確認出来たことが、こんなにもうれしい。正直EOEの結末に衝撃は覚えたものの納得はできていなかったので、今回の熱いシンジは大歓迎です。君の願う世界に、今度こそ。

カヲル君。貴方は何度劇場の女性達を狂喜させれば済むのですか。登場シーンでの黄色い歓声を聞かせてやりたい。今度こそは、ていうのは、一体何度目のループなんだろうとかちょっと思った。願わくば、シンジだけでなく、レイやアスカにも幸せになってほしいんだけどなぁ。

んで使徒たち。
キメラゾンビみたいな第三使徒。アンタ雑魚すぎ。そして仮設五号機もあっさり消えすぎて吹いた。
マトリエル。アンタいつの間にそんだけ強くなったんだ。カメラワークがまんまぼくらのだったぞ。
サハクィエル。あんだけの運動エネルギーがほぼゼロになったところでつばぜりあっても労力の無駄だらう。テレビでもそうだったが、受け止めた時点でエヴァの勝ちだぜあれは。
バルディエル。お前屋上な。トウジならともかく、アスカを、よくも、よくも、よくもアスカを・・・・!!!!!!
ゼルエル。おどれに綾波はやらん。同化したシルエットが半端にエロくて腹立たしさ倍増。ユイさん、レイをサルベージした後のぬけがらは好きなように解体してやってください。あと、もう少し肉弾戦を密度濃くやって欲しかった。

キャラだったり。
ゲンドウさん。少しずつ父親としての自覚が出てきているようでなによりです。息子との和解を目指して、がんばれお父さん!!
オペレーター三人。唯一?前作と全くポジションがぶれない人々。もうちょっと反抗したり独断で突っ走ったりしろよー。
冬月さん。ユイたんに負けないもん、ゲンドウたんはワシのもんだもんなラブっぷりが熱かった。うん、非常に熱かった・・・
トウジ&ケンスケ。テレビ版だと最後にケンスケが嫌なやつになってたけど、今作では問題なさそう。いつでもシンジの友達でいてやってください。
委員長。空気、アンタ空気すぎ。
ミサト。大人になったなぁ。ガキを身体で慰めるとか超外道なことやらかそうとしたテレビ版からすると、すごく成長したなぁと思う。加持とやったりしないあたりも立派。
リツコ姉さん。レイをぶっこわしたりゲンドウを射殺しようとしたりしたヤンデレ姉さんじゃなさそうで安心してたらアスカを貴重なサンプルって・・・それが本心からでないことをマジで祈るよ。アスカを人体実験とかに使ったら・・・
加持さん。相変わらず含みを持たせた言い回しが多い。でもテレビよりはいろいろ積極的に助言したり、自分の願いをたくしたりと、素直。

次回作タイトルは急あらため「Q」。quickeningとかなサブタイトルついてたけど、何か字面とは別の意味も隠されていそうで今からすごく待ち遠しい。ループを切るという意味があるのではとかなサイトがあってなるほどと思った。EOEみたく精神世界とかキャラの自問自答だらけのストーリーではなく、今回のシンジの決断のような、外向きに、前向きに、何かしようというのがうかがえてすばらしい。
こんだけアピールしてて最後は僕はここにいていいんだとか、気持ち悪い、にはならないようにと切に願います。

小沢一郎氏辞任

http://agora-web.jp/archives/607851.html

政治的な主張が出来ない烏合の衆を取りまとめながら、自民と真正面から対立しなければならない立場というのは、どれほど大変だったろうかと思う。
新たな小沢党を作り上げる力は、残っているのだろうか。
大久保利通伊藤博文原敬吉田茂を理想と掲げながら、その豪腕をふるえなかったのは悲劇としか言い様がない。

特攻隊に捧ぐ

戦争とは何かというのをよく考える。
礼賛する気は毛頭無いが、現実にイノチガケで戦っている人々をことさらに貶めようとも思えない。

戦争をしたいと思うのは、どこの誰さんなんだろう。
実際に銃を持ち敵を撃つのは、どこの誰さんなんだろう。

この、どこの誰さんが、せめてみんな同一であってくれるなら、救いはあるのだろうけれど。
だって、少なくとも、その人たちは、ノセられたわけでも何でもなく、本気で『ソイツを殺したい』と思って銃を撃つんだから。
殺すのに失敗しても、成功しても、成功したあとでソイツの仲間や遺族やにうらまれ復讐されるような羽目になったとしても、その原因は自らが本気で殺したいと思った殺意なのだと、納得はいくだろうから。

鬼畜米英、ジャップ、イエロー・モンキー、ライミー、ヤンキー、etc
そんな他人が貼り付けたレッテルで、人は人を殺せてしまう。
だけど、他人まかせのレッテルだから、自分たちが傷つけられ殺されることには理不尽を感じてしまう。
納得なんか、できるわけがない。

否応なしの強制、と坂口安吾は言った。
現実に戦時になってしまえば、こんなはすっぱな考え方など、木っ端に砕けて散ってしまうのだろう。
そして、存外人間は、強制されるのが好きなものらしい。
生き甲斐だの、使命感だの、名を残す、だのと。

サヨクの方々が怖がる軍靴の音なんて全然聞こえてこなくて拍子抜けだといつかのゴー宣で書いていた。
自分の実感としては、もう相当に音はでっかくなってきていると思う。
わかりやすく暗いイメージではなく、ただ何となく、気に入らない、フォークについたソースの付き方が気に入らない、ナプキンの折れ目が汚い、それぐらいの感覚。
戦争を許容する感覚って、こんなものなのかもしれない。
そして追い落とされて、どうにもならなくなって、口だけは英雄志望でかっこいいことだけ言って、死んでいくのだろう。

アシュリー

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00153634.html

神なんていない。
死後の世界や天上なんて無い。
そう思いながらも、こう願わずにはいられない。
天国で。
ジョン君と再会できていたら。

ご冥福をお祈りします。

願わくば。
貴女の生きた世界は、こんなに素晴らしい世界だったよと、いつか言えるように。

人間の権利

人間には権利があるから他の生物を殺したり傷つけたりしているのだろうか。
動物には植物には微生物には権利がないのだろうか。

どちらにも無い。

たとえ犬に食い殺されなくても、いずれ僕らは何者かに殺され、何者かに食われ、この地上から消えていく。
永劫生きていく権利など、この世の何者にも認められていない。
あるのは食い合い殺し合いだけだ。
植物の死骸で出来た本をめくり、牛豚鳥を虐殺した死骸を食い、稲や小麦の身体を引き裂いた残骸を食べ、毎日無数の命を殺して血肉にしているんだ。
いずれ病原菌や事故や自らの老いに殺された僕ら自身も、同じ道をたどるのだろう。
虐待という言葉もあいまいだ。
スポーツフィッシング、狐狩り、もしくは芝生を養生した場所でサッカーやテニスをやるのは、虐待ではないのか。
犬の足を切り落とし、猫を生きながらに腑分けるのが虐待だと言うのなら、それらも含まれてしかるべきだろう。
結局は、多数派の気分と雰囲気の問題の域を出ない。
それを倫理と呼ぶのなら、それもいい。
何も決まりがないよりは、あったほうがいいだろうから。
決まりにしばられない人間を、人間は忌み嫌うものだろうから。