あの日々をもういちど

健速さんというシナリオライター?が小説デビュー作として書いた作品。
江戸時代はじめに生まれ育った村を襲い来る鬼から守るため、自分ごと鬼を封印し、四百年後に目覚めた主人公の戸惑いと絶望と、そして奮起までを描いた物語。立ち直るきっかけになったしっぽのおねえちゃんとの触れ合いが何とも面映ゆい。登場人物はそれほど多くないが、その分どの人物にもわけへだてなく人柄や思いを描いていて、読んでいてすごく心地よかった。たまに擬音が使われたり、もう少し、掘り下げて書いてくれたらもっといいのに、という部分もあったけれど、こういう、まっすぐな主人公はすごく好きなので、気持ちよく読めた。作者はこういう優男っぽいけど芯はまっすぐ通ってる主人公を書くのが得意で、担当しているゲームのシナリオでもそのあたりは遺憾なく発揮されているとか。何かゲームやってみよう、と思った。